大賞はコタチユウさんの「離愁」にさせていただきました！
選んだ理由は今回のコンテストのテーマ「新たな出発」とイラストのクオリティが非常に高いレベルで両立されているからです。

イラストの技術は「自分の伝えたい事」を美しく相手に伝えるためにあります。デッサンも、パースも、全ては自分のイメージ、伝えたいことを伝えるためにあるのです。
コタチさんのイラストはただ美しいだけではなくて「伝えること」をとても大切にしていることがよくわかりました。例えば、女の子が「学友からもらった色紙を見て涙ぐんでいる」と伝えるのはとても難しいですが、かばんに入った卒業証書の筒と、右下に「ファイト」と書かれている事で、これは「学友からもらった色紙」なんだなぁと見る人に分かりやすく伝えています。左上にちらっと見えている時計も、卒業式が終わって解散する時間のリアリティがありますよね。

ですが、どんなに細かな演出にこだわっても、イラストは初見の印象が最も大切です。
明るい色使いと繊細なタッチで目を引きつけ、細かな演出でリアリティを高める。この両方を違和感なく両立させるのは非常に、ひじょうーーーーーーに難しいことです。
素敵で超テクニカルなイラスト、ありがとうございました！

準大賞はno titleさんの「新しい私」にさせていただきました！
選んだ理由は、「テーマのひねり」と「こだわり」の２つのポイントです。
「新たな出発」というテーマは、例えば列車に乗って出発するとか、卒業式とか、シンプルに考えるとそういったモチーフを選びたくなります。そしてテーマの表現は、初見の印象と理解しやすさのために、シンプルさがとても大切です。

ですが、no titleさんの作品は、「前髪を切る」事で新たな出発を表現しているのです。例え思いついても、前髪を切るだけでテーマを伝えるのはとても難しいです。そこを片目を隠した前髪との対比で、「この子は普段は前髪で目を隠していたんだ」わかりやすくしてるのが素晴らしいです。

また、小物のリアリティに対する強いこだわりもいいですよね。化粧品などはメーカーまで特定できそうなほどのこだわりと配置のリアルさ、凄いです。このようなこだわりがあるから、真に迫る説得力を感じます。
「こだわり」が詰まった凄いイラスト、ありがとうございました！