パースって何?背景イラストに役立つ透視図法を学ぼう
イラスト制作でよく耳にする「パース」がよく分からない……。
パースは空間を表現するための技術です。
パースを学ぶことにより、キャラクター・背景を立体的に描けるようになり、臨場感のある画面に仕上げられます。
今回は、漫画家・イラストレーターの瀬尾浩史先生による、パルミー月謝制講座「背景イラストパース講座【一点透視編】」より、内容を一部抜粋してご紹介します。
パースとは何か? 仕組みはどうなっているのか?
アイレベルや消失点などの解説も交えて、パースを基本から学んでいきましょう。
パースの基本の考え方
パースとは何か?
「パース」は英単語のperspectiveの略称で、イラスト制作では「遠近法」のことを指しています。
遠近法とは、平面上で物の遠近を感じさせる表現のことです。
遠近法の種類
遠近法には様々な表現方法があります。
まずは、遠近法の種類を見ていきましょう。
遮蔽遠近法
遮蔽遠近法は、手前の物体を使って奥の物体を覆い隠す表現です。
イラストでは、物の手前・奥を分かりやすくするために、意識的に物体を重ねていく必要があります。
空気遠近法
空気遠近法は、遠くにある物体ほど薄く霞んで表現する手法です。
屋外のイラストで遠くにある山を青白く描くのも、空気遠近法の表現です。
線遠近法
線遠近法は、線を使って遠近感を表現する方法です。
パース=線遠近法(透視図法)
イラスト制作で使われる「パース」とは、線遠近法のことで、紙の上に線で空間を描く技法のことを指しています。
線で空間を表現する技法は、「透視図法」と呼ぶこともあります。
パースは人を描くためにも重要
パースは背景を描くためのものと思われがちですが、イラストで制作する空間の中には、背景だけでなくキャラクターも存在しています。
パースとは、キャラクターと物を同じ空間に表現するための、情景を作るための技術です。
パース(透視図法)の仕組み・用語
透視図法の原則
透視図法と聞くと難しそうに感じますが、基本的な原則はシンプルです。
縮小の原則
人物と円柱は全て同じ高さですが、距離が遠く離れるにつれて小さくなっています。
「遠くの物は小さく見える」という縮小の原則を覚えておきましょう。
収束の原則
解説の地面の線は全て平行に引かれていますが、遠ざかるにつれて間隔が狭まり、やがて一点に集まります。
「平行な線は、奥に向かう(自分から離れる)と一点に集まる」という収束の原則も覚えておきましょう。
透視図法の用語
この空間には、立方体を見ている観測者がいます。
観測者の目の位置が、「視点=カメラの位置」と考えてください。
観測者と立方体の間には、「画面=フレーム」があります。
次に、観測者の視点から、立方体がどのように映るのかを見ていきましょう。
先ほどの客観的な視点から、観測者の視点に移りました。
透視図法では、「観測者から見た世界」を前提として考えていきます。
フレーム
観測者から見える画面の範囲のことを「フレーム」と呼びます。
イラストで言うところのキャンバスの枠と考えてみてください。
パースライン
点線で描かれている線は、観測者が見ている物の線を延長した「パースライン」です。
辺りを見回して、直方体の物からパースラインを見つけてみましょう。
消失点
点線のパースラインは、お互いに平行な線です。
先ほどの透視図法の原則の通り、お互いに平行な線が奥に向かうと、やがて一点に収束します。
この収束する点を、「消失点」と言います。
視心
観測者の目の位置から直線を伸ばした先に、「視心」があります。
視心と消失点の位置が重なる場合、一点透視の画面になります。
地平線
消失点が通る横方向の線が「地平線」で、空と地面を分けている境界線にもなっています。
アイレベル
観測者の目の高さを「アイレベル」と呼びます。
地平線のラインとアイレベル(目の高さ)は、ほぼ一致します。
透視図法の3つの種類
透視図法の種類
日常的に見ている景色やイラストの画面などは、大きく分けて3つの透視図法に分類できます。
・一点透視
・二点透視
・三点透視
観測者の立ち位置
この空間には、立っている場所の異なる4人の観測者がいます。
それぞれの観測者の視点から、立方体がどのように映るのかを見ていきましょう。
①一点透視の視点
一点透視の立方体
一点透視は、立方体を真正面から見ている人の視点です。
立方体に描かれている線に着目してください。
立方体の奥に向かう線は、地平線上の一点に収束します。
立方体の横方向・高さ方向の線は、奥に向かってはいないので、収束はしません。
消失点は一つだけなので、「一点透視図法」の画面です。
一点透視の作例
・画面の中に消失点があるため、奥行きを表現しやすい
・線路や川、廊下などにオススメ
・真正面からのアングルなので、フォーマルな印象
奥行きを出したい場合や、シンメトリーのようなフォーマルな印象を出したい場合は、一点透視の画面がオススメです。
②二点透視の視点
二点透視の立方体(パターン1)
一点透視の位置から、横に移動して立方体を見ています。
立方体の左側の面と右側の面で、二種類の線が奥に向かっていますね。
二種類の線は、それぞれ地平線上の別の消失点に収束します。
立方体の高さ方向の線は、奥に向かってはいないので、収束はしません。
消失点は二つあるので、「二点透視図法」の画面です。
二点透視の立方体(パターン2)
一点透視の位置から横には移動せず、柱に上って立方体を見下ろしています。
立方体に描かれている線の中で、自分から遠ざかっている線を探してみてください。
立方体の上面の奥に向かう線と、側面の下に向かう線が、自分から遠ざかっていますね。
二種類の線は、それぞれ別の消失点に収束します。
こちらも消失点が二つあるので、「二点透視図法」の画面です。
二点透視の作例
・辺りを見渡したような自然な絵になる
・部屋や建物など、様々な場面で使える
日常では物を真正面から見る機会は少なく、大抵の場合は物を斜めから見ています。
そのため、普段見ている景色は、二点透視であることが多いです。
③三点透視の視点
三点透視の立方体
一点透視の位置から横に移動して、更に柱にも上っています。
斜め上から立方体を見下ろしているアングルです。
全ての立方体の線が自分から遠ざかっていますね。
三種類の線は、それぞれ別の消失点に収束します。
消失点は三つあるので、「三点透視図法」の画面です。
三点透視の作例
・見上げたり見下ろしたりする、通常とは異なる視点
・見上げることで、威圧的な建物などを強調できる
・見下ろすことで、周りの状況が分かりやすくなる
見下ろす視点は、漫画の冒頭でシチュエーションを説明するときなどにも便利です。
更に、空間の中に立方体を描く練習をして、パースに沿った人物・背景の作画方法を学ぶことにより、パース(透視図法)を活用した画面作りができるようになります。
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- 空間の中で、立方体をパースに乗せていく練習
- アイレベルから人物を配置する手順
- 窓や扉の作画に便利な「分割」の方法
- 木や床の作画に便利な「増殖」の方法
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また、瀬尾浩史先生は、「背景イラストパース講座【二点透視編】」、「背景イラストパース講座【三点透視編】」の講師も担当しています。
二点透視編では、消失点が二つある画面の作り方を、写真資料の活用方法なども交えて基本から解説しています。
パース(透視図法)を理解して活用することで、キャラクター・背景を含めた様々なシチュエーションのイラストが描けるようになります。
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イラスト制作でよく耳にする「パース」がよく分からない……。
パースは空間を表現するための技術です。
パースを学ぶことにより、キャラクター・背景を立体的に描けるようになり、臨場感のある画面に仕上げられます。
今回は、漫画家・イラストレーターの瀬尾浩史先生による、パルミー月謝制講座「背景イラストパース講座【一点透視編】」より、内容を一部抜粋してご紹介します。
パースとは何か? 仕組みはどうなっているのか?
アイレベルや消失点などの解説も交えて、パースを基本から学んでいきましょう。
パースの基本の考え方
パースとは何か?
「パース」は英単語のperspectiveの略称で、イラスト制作では「遠近法」のことを指しています。
遠近法とは、平面上で物の遠近を感じさせる表現のことです。
遠近法の種類
遠近法には様々な表現方法があります。
まずは、遠近法の種類を見ていきましょう。
遮蔽遠近法
遮蔽遠近法は、手前の物体を使って奥の物体を覆い隠す表現です。
イラストでは、物の手前・奥を分かりやすくするために、意識的に物体を重ねていく必要があります。
空気遠近法
空気遠近法は、遠くにある物体ほど薄く霞んで表現する手法です。
屋外のイラストで遠くにある山を青白く描くのも、空気遠近法の表現です。
線遠近法
線遠近法は、線を使って遠近感を表現する方法です。
パース=線遠近法(透視図法)
イラスト制作で使われる「パース」とは、線遠近法のことで、紙の上に線で空間を描く技法のことを指しています。
線で空間を表現する技法は、「透視図法」と呼ぶこともあります。
パースは人を描くためにも重要
パースは背景を描くためのものと思われがちですが、イラストで制作する空間の中には、背景だけでなくキャラクターも存在しています。
パースとは、キャラクターと物を同じ空間に表現するための、情景を作るための技術です。
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透視図法の原則
透視図法と聞くと難しそうに感じますが、基本的な原則はシンプルです。
縮小の原則
人物と円柱は全て同じ高さですが、距離が遠く離れるにつれて小さくなっています。
「遠くの物は小さく見える」という縮小の原則を覚えておきましょう。
収束の原則
解説の地面の線は全て平行に引かれていますが、遠ざかるにつれて間隔が狭まり、やがて一点に集まります。
「平行な線は、奥に向かう(自分から離れる)と一点に集まる」という収束の原則も覚えておきましょう。
透視図法の用語
この空間には、立方体を見ている観測者がいます。
観測者の目の位置が、「視点=カメラの位置」と考えてください。
観測者と立方体の間には、「画面=フレーム」があります。
次に、観測者の視点から、立方体がどのように映るのかを見ていきましょう。
先ほどの客観的な視点から、観測者の視点に移りました。
透視図法では、「観測者から見た世界」を前提として考えていきます。
フレーム
観測者から見える画面の範囲のことを「フレーム」と呼びます。
イラストで言うところのキャンバスの枠と考えてみてください。
パースライン
点線で描かれている線は、観測者が見ている物の線を延長した「パースライン」です。
辺りを見回して、直方体の物からパースラインを見つけてみましょう。
消失点
点線のパースラインは、お互いに平行な線です。
先ほどの透視図法の原則の通り、お互いに平行な線が奥に向かうと、やがて一点に収束します。
この収束する点を、「消失点」と言います。
視心
観測者の目の位置から直線を伸ばした先に、「視心」があります。
視心と消失点の位置が重なる場合、一点透視の画面になります。
地平線
消失点が通る横方向の線が「地平線」で、空と地面を分けている境界線にもなっています。
アイレベル
観測者の目の高さを「アイレベル」と呼びます。
地平線のラインとアイレベル(目の高さ)は、ほぼ一致します。
透視図法の3つの種類
透視図法の種類
日常的に見ている景色やイラストの画面などは、大きく分けて3つの透視図法に分類できます。
・一点透視
・二点透視
・三点透視
観測者の立ち位置
この空間には、立っている場所の異なる4人の観測者がいます。
それぞれの観測者の視点から、立方体がどのように映るのかを見ていきましょう。
①一点透視の視点
一点透視の立方体
一点透視は、立方体を真正面から見ている人の視点です。
立方体に描かれている線に着目してください。
立方体の奥に向かう線は、地平線上の一点に収束します。
立方体の横方向・高さ方向の線は、奥に向かってはいないので、収束はしません。
消失点は一つだけなので、「一点透視図法」の画面です。
一点透視の作例
・画面の中に消失点があるため、奥行きを表現しやすい
・線路や川、廊下などにオススメ
・真正面からのアングルなので、フォーマルな印象
奥行きを出したい場合や、シンメトリーのようなフォーマルな印象を出したい場合は、一点透視の画面がオススメです。
②二点透視の視点
二点透視の立方体(パターン1)
一点透視の位置から、横に移動して立方体を見ています。
立方体の左側の面と右側の面で、二種類の線が奥に向かっていますね。
二種類の線は、それぞれ地平線上の別の消失点に収束します。
立方体の高さ方向の線は、奥に向かってはいないので、収束はしません。
消失点は二つあるので、「二点透視図法」の画面です。
二点透視の立方体(パターン2)
一点透視の位置から横には移動せず、柱に上って立方体を見下ろしています。
立方体に描かれている線の中で、自分から遠ざかっている線を探してみてください。
立方体の上面の奥に向かう線と、側面の下に向かう線が、自分から遠ざかっていますね。
二種類の線は、それぞれ別の消失点に収束します。
こちらも消失点が二つあるので、「二点透視図法」の画面です。
二点透視の作例
・辺りを見渡したような自然な絵になる
・部屋や建物など、様々な場面で使える
日常では物を真正面から見る機会は少なく、大抵の場合は物を斜めから見ています。
そのため、普段見ている景色は、二点透視であることが多いです。
③三点透視の視点
三点透視の立方体
一点透視の位置から横に移動して、更に柱にも上っています。
斜め上から立方体を見下ろしているアングルです。
全ての立方体の線が自分から遠ざかっていますね。
三種類の線は、それぞれ別の消失点に収束します。
消失点は三つあるので、「三点透視図法」の画面です。
三点透視の作例
・見上げたり見下ろしたりする、通常とは異なる視点
・見上げることで、威圧的な建物などを強調できる
・見下ろすことで、周りの状況が分かりやすくなる
見下ろす視点は、漫画の冒頭でシチュエーションを説明するときなどにも便利です。
更に、空間の中に立方体を描く練習をして、パースに沿った人物・背景の作画方法を学ぶことにより、パース(透視図法)を活用した画面作りができるようになります。
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